「Antigravity CLIを使い倒したいのに、すぐに利用上限に達してしまう」と悩んでいませんか?
この記事は、Google AI Proを契約し、Antigravity CLIの利用上限(5時間枠・週間枠)に直面している開発者向けです。
結論から言うと、ファミリー共有を使ってもAntigravity CLIの利用枠を増やすことはできません。 ファミリーグループ全体で、1契約分のクォータプールを分け合う仕様になっているからです。
しかし検証を進めると、Web版Geminiでは個人別に分かれているのにCLIでは合算されるという二重構造や、キャッシュによる表示の落とし穴が判明しました。
この記事では、別端末を使った対照実験の結果とGoogle公式規約の裏取り、そして枠が上限に達したときに現場で取れる「2つの回避策」を解説します。
1. 検証のきっかけ:アカウント切り替えで利用枠を増やせるか?
GoogleのAIコーディングエージェント「Antigravity CLI(agy)」は、ターミナル上で自律的にコードを書いて検証してくれる強力なツールです。
一方で、エージェントが自律的に複数ファイルを編集したりコマンドを走らせたりすると、計算量に応じてクォータが速いペースで消費されます。ヘビーに開発していると、5時間ごとのリセット枠や週間上限にあっという間に達してしまいます。
そこで気になるのが、Google AI Pro(旧 Google One AI プレミアム)の「ファミリー共有」です。最大5人のメンバーと特典を分け合える機能です。
ネット上の一部記事では「ファミリー共有でもAIモデルのレートリミットは個人別」と紹介されていました。
もしそれが本当なら、アカウント1が上限に達したらアカウント2へ切り替えることで、実質2倍〜3倍の開発リソースが手に入る計算になります。さっそく実機検証をスタートしました。
2. 実機検証で分かった「Web版」と「CLI」の決定的な違い
(1) Web版Gemini(gemini.google.com/usage)の確認
Googleは2026年5月中旬、AIモデルの使用量やリセット時間をパーセンテージで確認できる公式ページ「使用量上限(https://gemini.google.com/usage)」を新設しました。
ブラウザ上でファミリーメンバーのアカウントを切り替えながら、このページにアクセスしてみました。
- アカウント1(親):使用量 19%
- アカウント2(子):使用量 0%
- アカウント3(子):使用量 0%
Web版Geminiでは、アカウントごとに使用量が完全に分かれていました。
この画面を見た時点では、「アカウントを切り替えれば別枠で使える」と確信していました。
(2) Antigravity CLI での対照実験
ところが、Antigravity CLI上でアカウントを切り替えて /usage を確認したところ、どのアカウントでも全く同じ使用量とリセット時刻が表示されました。
ローカル端末のキャッシュや設定ファイルの混同を疑い、完全にクリーンな「別端末」を用意して対照実験を実施しました。
| 検証パターン | 対象アカウント | 別端末での表示結果 |
|---|---|---|
| パターンA | ファミリー共有グループ内のアカウント同士(親・子) | 全く同じ使用量・同一のリセット時刻(秒単位まで一致) |
| パターンB | ファミリー未共有の別アカウント(無料アカウント) | 全く異なる使用量(独立した無料枠) |
この対照実験によって、端末側のバグや設定ミスではなく、Googleのバックエンドサーバーがファミリー共有メンバーに同一のクォータプールを返していることが確定しました。
3. なぜこうなる?公式規約とアーキテクチャから読み解く理由
なぜWeb版Geminiでは別々なのに、Antigravity CLIでは合算されてしまうのでしょうか。
Google公式の利用規約と技術ドキュメントを調べたところ、明確な理由がありました。
① Google One利用規約の「リソース共有モデル(プール制)」
Google One 利用規約(Terms of Service)において、ファミリー共有はメンバー全員に個別の契約を複製する仕組みではありません。親アカウントの1契約分のリソース枠を、家族全員でプール共有するモデルと規定されています。
規約内にも、ストレージ容量と同様に「消費されたAIクレジットを他のメンバーが確認できる場合がある」旨が明記されています。
ストレージ容量(2TBなど)を家族で分け合うのと同じで、AIの計算枠も「1契約につき1プール」が基本原則です。
② Antigravity CLIは「Shared Agent Harness」
Google Antigravity 公式ドキュメントには、CLIが「Shared agent harness」として共通のエージェント基盤上で動作していると書かれています。
CLIはGoogle Cloudのエンタープライズ基盤(Gemini Enterprise Agent Platform)上で動く高度な計算エージェントです。
そのため、バックエンド側ではGoogle AI Proのサブスクリプション契約IDに対して厳格なコンピューティング枠(5時間枠・週間枠)を割り当てています。
ファミリーグループのメンバーがアカウントを切り替えても、紐付いている契約IDが同一であるため、全員で同じ1つのPro枠を削り合っていました。
graph TD
subgraph Google One 契約
Pro["Google AI Pro 契約(親アカウント)"]
end
subgraph Google Cloud バックエンド
Pool["1つのクォータプール
(5時間枠 / 週間枠)"]
end
subgraph ファミリーグループ
Acc1["アカウント1(親)"]
Acc2["アカウント2(子)"]
Acc3["アカウント3(子)"]
end
subgraph ファミリー外
FreeAcc["未共有の無料アカウント"]
FreePool["独立した無料クォータ
(週リセット)"]
end
Pro --> Pool
Acc1 --> Pool
Acc2 --> Pool
Acc3 --> Pool
FreeAcc --> FreePool
Pool --> CLI["Antigravity CLI
(全員で同じ枠を消費)"]
FreePool --> CLI
4. (コラム)CLIのクォータ取得における「キャッシュの罠」
検証中、Antigravity CLI特有の落とし穴にも遭遇しました。
ターミナルから非対話で実行できる agy -p "/usage"(print mode)を実行した際、CLI内部ログに以下のエラーが記録されていました。
ERROR: Cache(retrieveUserQuotaSummary): Singleflight refresh failed: Post "https://daily-cloudcode-pa.googleapis.com/v1internal:retrieveUserQuotaSummary": context canceled
agy -p は約0.3秒で結果を出力してプロセスを終了してしまいます。Googleサーバーへの非同期通信が完了する前にプロセスが中断され、手元にあった直前のキャッシュ(古い数値)をそのまま返してしまう現象が起きていました。
スクリプトやステータスバー等でクォータを監視・取得する場合は、このキャッシュの誤返却に注意が必要です。正確な数値を確認するには、対話モード(通常の agy 起動)でサーバー接続を待ってから /usage を実行するのが確実です。
5. Pro枠が枯渇した開発者が取れる「2つの回避策」
ファミリー共有で枠を増やせない以上、利用上限に達したときはどう対処すべきでしょうか。
今回の検証から見えてきた、現場で実践できる回避策を2つまとめました。
① ファミリー未共有の「無料アカウント」を非常用サブにする
対照実験で確認された通り、ファミリー共有に属していない無料のGoogleアカウントは、完全に独立した無料枠を持っています。
Antigravity公式ドキュメント(Plans)によると、無料アカウントでもベースラインとして「Gemini 3.8 Flash」や「Gemini 3.1 Pro」、さらにはHigh思考(拡張思考)まで利用できます。
| プラン | リセット周期 | 週間クォータ | 利用可能な主なモデル |
|---|---|---|---|
| Google AI Pro | 5時間ごと | 手厚い枠 | Gemini 各種 + Claude等 |
| 無料アカウント | 週に1回 | 控えめ | Gemini 3.8 Flash / 3.1 Pro |
Pro枠がリセットされるまでの緊急避難用(軽微なコード修正や調査)として、ファミリー未共有の無料アカウントを1つ控えておく方法は非常に実用的です。
② エージェントの「思考レベル」とモデルを用途で分ける
Antigravityのクォータ消費は、リクエスト回数ではなくエージェントが実行した計算量(コンピューティング量)に連動します。
- 通常のバグ修正やスクリプト作成:Gemini 3.8 Flash(標準思考)
- 複雑なリファクタリングやアーキテクチャ設計:Gemini 3.1 Pro や Claude(High思考)
最初からすべてをProモデルやHigh思考で走らせるのではなく、タスクの重さに応じてメリハリをつけることで、5時間枠や週間枠の消費スピードを大幅に抑えられます。
6. まとめ
「アカウントを切り替えれば利用枠を増やせるのでは」という疑問から始まった検証でしたが、結果としてGoogleの強固なクラウド管理仕様が明らかになりました。
本記事の要点は以下の4点です。
- Antigravity CLIはファミリー共有しても枠は増えない(1契約=1プール制)
- Web版Geminiは個人別、CLIは契約単位という二重構造になっている
- 枠が枯渇したときは、未共有の無料アカウントを非常用サブとして活用できる
- モデル選択と思考レベルのメリハリをつけることで、クォータ消費を節約できる
Antigravity CLIのクォータ管理で困っている方は、ぜひこの運用方法を試してみてください!

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